第四回 クレーをどう消費してきたか
2021/10/23 Mode2 Lab
日本の代表的なクレー研究者 前田富士男が「多くの領域にまたがる国際的な研究者による研究方法論は多様化かつ専門家しているが、筆者は、ゲーテの形態学と色彩論にみられる知のあり方を芸術研究上の導きの糸としてきた」と言うように、自分にとっての「ゲーテの形態学と色彩論」を何にするかを引き続き手を動かすことで考えていきたい。
一次資料=絵画作品そのものを調べることは現実的に難しく、また関心もそこ(作品論)にあるわけではないので、作品そのものを研究対象にすることはしない。
そこで、作家側について調べるのではなく、キュレーション・消費の方に視線を向けるのはどうだろう?
当初浮かんだ「クレーは多様な画材・技法を試したことでも知られるけど、なぜそういう方法をとったのか?」を視点を変えて「多様なクレー作品を、後世はどのように受容・消費してきたか?」に変えたらどうか。
国内の展覧会だけに絞っても、1958年から50回開催されている(クレーの名を冠したものはそのうち31)。バウハウスと関連してテキスタイルやグラフィックデザインに関する研究もいくつか見つけた。また作品のグッズ化も盛んな印象がある。
で...
・作品のほとんどが小さい小品作家(Kreinmeister)である=部屋に飾れる
・クレー芸術の本質が作品の「断片性」にある/他作家と異なるヒエログリフ性(シュレーゲル)は制作手法の多様性にある
(前田富士男,2006)
・自身で目録を作成し、遺品コレクションとして8つの価格等級と特別クラスに作品を設定した(ケルステン,1987)
これらのことと、多様な受容のされ方が関係あるんじゃないか?みたいな視点でできたら面白いだろうな~と思いました。
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「クレーの日本における受容 展覧会における作品の特徴を示す表現の変遷から」とか
方向性は2つ
1.断片性などのキーワード、もう1つか2つの分析のための視座を得る作業
2.データにひたすら触れる、図表、展覧会情報、説明文、メディアの扱いその他
フライヤー、宣伝記事などでの扱いの変遷
受容されやすいってどう計るのか?
別の作家の展覧会の変遷をみてみる